ホームページ  はじめに  インド旅行学  ティルタヤトラ  旅のあらすじ  写真集  シンボル  聖地と寺院  人と暮らし  旅の知恵  コーラム  ヤントラ  ゲストブック


〔ヴェーダの神々と女神 : (1) | (2) |  (3) 



ヴェーダの神々と女神 (2)

 チベット仏教の創始者ともいわれるタントラ‐ヨギ・パドマサンババは、「鉄の鳥が飛び、馬が車輪に乗る時代、“ダルマ(真実の宗教、義務)は西へ行く。」と語りました。そのとおり、今ではヴェーダの知識は西洋諸国を中心に世界的に広がり、ヨガ教室やアユルヴェーダの診療所、アシュラムやヒンドゥー寺院も各地に設立されています。グルに師事するミュージシャンや芸術家、知識人も少なくありません。実際にインドへ渡り、哲学やヨガのシステムを学ぼうとした人は、過去数百年のあいだ絶えることがありませんでした。文献が世界の言語に翻訳、解説されるとともに、世界中がその奥深い思想や哲学の理解を試みたのです。インドを訪れヴェーダによる伝統を実践・経験することによって、その理解や認識を深めることができます。しかし、ヴェーダは地域に限定されない全世界、宇宙的なものであり、そのパッケージのみがインドなのです。


太陽系惑星の神々は天文学や占星学において
重要な役割を果たす。

 ヴェーダはすべての人に物質、心理、精神的な生活における成功を約束し、それは労働者、商人、農民、兵士、学生、司祭師などあらゆる性質に適応されます。 異なった宗教や文化が混雑する現代社会において、全ての生命に在る精神の科学を追及し敬うことで、世界の平和と平等は可能になるわけですから、 ヴェーダ(Sruti ・Smriti) はいつの世も人類に様々な影響をもたらすでしょう。
Hare Krishna--Hare Rama , Jay Jay Sita Rama, Om tat Vishnu !

 ヴェーダの世界には数多くのムニ (聖仙)リシ(聖王)、仏陀やラーマ、クリシュナを含むアヴァター(神の化身)も存在します。惑星(スリヤ、チャンドラ…)や河川(ガンガー、ナルマダ・・・)山、木、湖などの自然条件は人格化された神々であり、地球自身もまた女神(Bhumi)なのです。 さらに音楽や芸術、建築家などの人格を持つ神々も登場して展開される壮大なドラマは、神と世界の関係を具体的に説明しています。




神々と献身

 献身で捧げられたものを神々に届けるメッセンジャーの役割を果たす  アグニ(火の神)は、消化をつかさどる火(Jataragni)として私たちの体内にも存在します。神々は各居住地を持ち、こうした場所や寺院は聖地として崇められます。たとえばシヴァがヒマラヤのカイラーシュ山、12のジョーティリンガムに宿るように。そして神はパラムアトマとして全ての生命のハートにも宿るので、われわれの身体もまた神の寺院と認識し、取り扱います。こうして植物を含む全ての生命体は互いに結ばれ、尊重されて、調和を保つことができるのです。
 インドでは多くの人が非暴力的である菜食生活を実践しています。生存を維持するための食糧は常に他を犠牲にするものですが、これは生命体の持つ感覚の数で位置付けられています。一つの感覚のみを持つ不動である植物から、さらに多くの感覚を持つ虫や鳥、より大きな動物へと精神活動における身体的価値は高まります。最も多い13の感覚を持つ人間は多様の捧げ物や奉納ができるのです。(乳)、花、果実、葉を神に捧げた後、その御下がり(プラサダム)を頂くことによって、犠牲と犠牲者の両方をカルマ(あらゆる反作用)から解放します。この世に“絶対”は存在しないように、ヴェーダの菜食文化は絶対的な非暴力を実践するものではなく、神への献身活動に重点をおいています。バガヴァッドギータの中で神クリシュナは献身を持って神に捧げることの重要さを語ります。 それゆえ、肉食を禁止するのではなく愛情を込めたベジタリアンとしての生活はあくまでも自然に実行されてきました。ヴェーダ文献を学んだ人は“私の体は神の住まわれる寺院である、死体を投げ入れる墓場ではない。”というのです。



――Renuka- Mata/ Devi――

Renuka Devi ( Mahur M.H)

 女神達(デビ)は“マタ(母)とも呼ばれ親しまれています。 マハラシュトラ州中部、板状の岩盤が一面に広がるジャングル地帯の聖山に出会ったのは、“レヌカ デヴィ”。 ヴィシュヌの24の化身の一人であるパーラスラームの母親です。寺院の中には岩盤のユニークなマタ‐ジが祭られていて、参拝者は花輪と共に装飾品やサリーなどもこの愛くるしいマタジに捧げて供儀を行います。寺の僧たちは祭りの日に美しく装飾されたレヌカ‐デビの写真を見せてくれました。荒野とジャングルの合間にある、なんともほのぼのとしたこの寺院は、人々の愛情深い献身にあふれています。 ヴィシュヌの化身であるシュリ・ダタトリヤの大きな寺院も近くにあり、原住民を中心に多くの巡礼者が訪れる聖地です。


――Brahma- ji
(創造の神)――

 ヴェーダを手に持つ創成の神ブランマーは供儀の火をプシュカルの湖へ届ける役割も果たします。ブランマーはその婦人サヴィトリと共にプシュカル湖で供儀を行う予定でしたが、特に美しく身繕いをしようとしたサヴィトリは供儀に遅れてしまいます。そこでブランマーは、3つの牛糞を手にとり、生命を与えて女神ガヤトリを誕生させました。 Brahma at 
Pushkar Lake (Rajasthan)ブランマーとガヤトリは予定されていた通り供儀を行いましたが、参列できなかったサヴィトリはその供儀に呪いをかけました。こうして今の時代には、聖職階級のブランマーナは乞食のようになり、牛は路上のごみを与えられ(BSEにも発展)、火(アグニ神)は足でもみ消されるようになり、解脱(Mukti, Moksha)を約束する有名なガヤトリーマントラもまた忘れられてゆきます。
 約五千年のあいだ、ブランマーはラジャスタンのプシュカルにおいてのみ崇拝されるようになりました。インド全土にはさらにいくつかのブランマー寺院がありますが、プシュカル以外の寺院はどれも扉に鍵がかけられているといい、創成者として物質界を創り出し、苦を生み出す性質ラジャス(激情)を司る神ブランマーには、他の神々ほどの価値を与えられていません。


ヴィシュヌの臍である
海洋から伸びた蓮に座るブランマー

 生命体の育まれたプシュカルは巡礼地として広く知られ、プシュカルを訪れることによって精神に依存する人生が始まるともいわれます。ここで生命体とは一定の期間のみに存在する身体を意味しています。人類には3つの誕生があり、第一に生殖、第二に物理的な誕生、第三に精神としての誕生。しかし、誕生も死もない個々の魂プルシャ、パラムアトマ、ブラフマンにはその起源があり、ブランマー自身もまた同じなのです。
 ブランマーの怒りをかい、水なきところに暮らせと呪いをかけられた女神サヴィトリは、 山の(絵の背景)山頂に祭られています。寺の僧は毎日欠かさず水を山頂に運びます。


――Bero- ji (飲酒の神)――

飲酒の神

 南インドの森の中には、酒飲みの神 ベロ の祠。 ベロは犬を伴い、飲みすぎると顕れるアルコール中毒という悪魔か、その犬は切られた悪魔の首から滴る血を舐めています。 お酒の止められない人はここへ来て、ベロに捧げて共に一杯。誰でもその性質によって神々に貢献できるヴェーダの文化は実に多様性があります。神像は色粉で染められていて再拝されている様子がうかがえます。ウジャイン(M,P)にあるベロ寺院は巡礼地としても有名。



――Shiva/ Rudra (破壊の神)――


Om nama Shiva, (Mantra) 45kb , mp3

 神ブランマーによって新しい出現が起こり、ヴィシュヌは宇宙全世界を維持。ヴェーダに基づいた創造、維持、破壊は始まりも終わりもなく繰り返されるのです。



 シヴァ神。おそらくインドで最も一般的に尊敬され崇められている神。ヴェーダの三大神(三位一体神)の一人、破壊の神 。この宇宙の世界時間が終わるとき、シヴァが踊りを舞い破壊をもたらすと、その後また新しい世界が創造されてゆく。シャンカール、シャンボーなどとも呼ばれるヴェーダ神ルードラの1008の顕現。

 Shivalingam
  シヴァリンガム(サレグラム)はシヴァ信仰における重要なアイテムであり、その石は男性性器の形で豊饒を印し、多くの寺院では女性性器“ヨニ”の上に立てられている。


プジャ(供儀)の跡


  ダトゥラ、ベーラ、ガンジャなど、ジャングルの植物も供え物に。若い女性は良い結婚相手に恵まれることを願い、サドゥーは無知の破壊者としてシヴァ神を崇拝します。

 シヴァ リンガムでは自然に育つジョーティ・リンガやスワヤンブー・リンガが特に重要です。ヒマラヤ、アマルナートのジョーティ・リンガムはその中でも特に有名で、洞窟の中に氷から伸びた6mのリンガムは、多くの巡礼のゴールにもなっています。
さらに数ミリメートル高い南インドのアトマ(精神)リンガムは、その昔シヴァ神がヒマラヤから持ち出してスリランカの魔王ラバナに与えました。一度地面につくと二度と持ち上げることができないこのリンガムをラバナはスリランカに持ち込むことを望みますが、シヴァ神の息子ガネーシャはラヴァナの指示に反し、リンガムを地面に置くことによって魔王の手から守りました。こうしてカルナタカ州のゴカールナにあるアトマ・リンガは、南インドにおける重要な巡礼地の一つとなったのです。



シヴァとパルヴァティ  



――Sri Ganesha (豊穣の神)――





繁栄の神ガネーシャ。
(86kb , mp3)

 象の頭を持つ神ガネーシャシヴァ(マハデヴァ)パルヴァティの3人の息子の一人。 子供を欲しがるパルヴァティが、沐浴の際、出てきた垢を子供の形にこねると、そこにガネーシャが誕生。 その幼児期、パルバティを訪ねようとした父シヴァ神の邪魔をして怒りをかい、その首を切り落とされる。 息子ガネーシャの罪を許し、刑罰を与えるため、傍にいた象の頭が与えられることになりました。
 シヴァ寺院の入口や外門にはガネーシャが祭られていて、まず始めに対面し、 儀式や供儀においても同様ガネーシャが先でその後に神々が呼ばれます。詳細は歴史文献、シヴァ プラーナにて。 幸運の女神ラクシュミは頻繁にガネーシャと共に称賛され、“運と食”この組み合わせは物質的な福利を求める多くのヒンドゥー商人によって崇拝されています。



――Narmada−Devi(川の女神)――





ワニに乗るナルマダ・デヴィ

 ガンガー、ヤムナ、カウベリ、ゴダヴァリ、およびナルマダはインドの5つの神聖な川として知られています。 シヴァ神の娘である女神ナルマダは、シヴァの額から落ちた汗のしずくより誕生。 4本の手にはシヴァリンガム(ナルマダ川にあるすべての石はシヴァリンガムといわれる)アムリタ/アムリット(聖なる蜜)の壷、破壊力を示す三椏槍を持ち、スヴァスティカの手で運を約束します。 上空にはヴェーダの三大神、ブランマー、ヴィシュヌ、シヴァが花を降りそそいで賛美しています。聖河ナルマダについての詳しいレポートは写真集のオームカレシュワー、アマルカンタクをご覧ください。

Narmade har har, 流れよナルマダ » 64kb , mp3


人類・感覚の御者

 人体を得た私達人類はカルマや知識においてその精神的発達をVirkruti-,Tschan-,Manu-,Brahma-・Atma-Vadi.に段階付けることができます。 神は個人的な愛情に満ちた交流(バクティ ヨガ)を奨め、神を受け入れない自己主義な人々は、ねたみを持ちながら毎日働くことになるでしょう。バガヴァッドギータの16章では神的・悪魔的な資質について知ることができます。人はその自由な意志と努力によって、人生を達成するために精神的な発達をより深めることができます。すなわち13の感覚(学ぶ5、働く5、制御3)を持つ人間は84万の生命形態の中で最も優れた機能を与えられ、その肉体を用いてヨガを修練することが可能なのです。だからこそヨギは人体をヨガの道具として大切に取り扱います。

Narada muni


右>> ナラダ ムニ  ビーマを奏で、世界と宇宙を巡る旅人。惑星を颯爽と飛び交い、どこからともなく現れる。神話によく登場するこの聖者は、神々の伝言人、アドヴァイザーとして敬われています。

 人は人生のゴール(喜び)に向かって様々な活動をしますが、“ティルタ‐ヤトラ(聖地巡りの旅)はヨガの実習としての旅を実行するものです。私達は神々やその聖地を表した絵やヴェーダ文献を頼りに神聖な場所を見つけ出し、旅を続けます。たとえばラーマヤナのラーマとシータのジャングル放浪記をもとにインドの地図を眺めると、北から南まで全土にわたるラーマの痕跡を見出すことができます。そこに暮らす人々はラーマの伝説を語り、それらの場所を巡ることで今日にもラーマヤナの教訓を経験することができるのです。 インドそして世界におけるこのようなヤトラ(旅)は各個人の興味によって進めると同時に供儀の循環に加わることになります。神々とそのメッセージをもとに未知の土地を巡るティルタ‐ヤトラは“タパシヤ(自由な意志による苦行)”としての供儀でもあり、人はタパシヤを持ってのみ純性(サットヴァ‐グナ)へと導かれてゆくのです。“デーヴァ‐スタン(聖地)での滞在は身体的、心理的、精神的な至福をもたらします。

写真集に聖地(Tirthas ・ Devasthan)についてのレポートがあります。




<< ヴェーダの神々(1) <<>> ヴェーダの神々(3) >>


To be Vegetarian is Nonviolence in Action.



ホームページ  はじめに  インド旅行学  ティルタヤトラ  旅のあらすじ  写真集  シンボル  聖地と寺院  人と暮らし  旅の知恵  コーラム  ヤントラ  ゲストブック


背景画 (1024X768): 幸運の女神ラクシュミにマッサージされ、 乳海に浮かぶ蛇のベット(Sesha)に横たわるヴィシュヌ神。
何を考えているのですか?という彼女の質問に、私の創造主のことを考えています、と答えるヴィシュヌ。
海洋であるヴィシュヌの臍からは一本の蓮が伸び、その蓮の上には世界と宇宙の創造の神ブランマーが座し、 共に神を想っている。


E-Mail

2006 © by Fumiko